生きる力の「根」を育てる

人の一生を木に例えると、乳幼児期は根っこの部分にあたると思います。その木が土の中でどのように根を張っているのかを目で確かめることが出来ないように、乳幼児期に積み重なる経験は、見た目には食べる、寝る、排泄する、遊ぶという単純なことの繰り返しがほとんどで、どのような経験が大切なのかがとても不確かであるように思われます。
しかし、一本の木の幹や枝葉にあたる、人と共に生きる知恵(協調性・社会性)や壁を乗り越えていく力(問題解決能力)は、この乳幼児期の経験を土台に育まれていくのです。

乳時期は保育者と個人的なつながり感を基盤に、安全と安心が保証された場所で自分への肯定感をしっかり育むこと、幼児期は友達という集団の中で葛藤を経験をしながら、互いに刺激を受け合い、受け入れあう喜びを学ぶことが重要だと思います。

中央幼稚園では、園児一人ひとりの発達の特性をしっかり把握しながら、子供の育ちを支えるという“環境としての保育者“の在り方を探り、「子ども自身が自分の力を発揮して育っていくこと」を大切にして保育にあたります。

遊びが中心の保育です

「知る」ことよりも前に、まず「感じる」こと

日航とやわらく肥沃な土壌があればやがてしっかりとした稲穂を実らせるように、子ども達は自ら見たもの触れたもの、感じたものを吸収し、いろいろなものに興味を持ち自由に学んでいきます。五感が充分に開かれた子ども達は、人生を楽しみながら、やがて知性の伴った大人へと成長していきます。その環境づくりをしていくことが私たちの仕事だと考えています。

「体験する」こと

知恵は、理論的に身につけるのではなく、体験があって初めて直感的に引き出されるもの。中央幼稚園では、子どもたちが自ら体験することを大切にします。
大人の私たちは、先回りするのではなく、一歩後ろから見守り、共感者や身近な存在として寄り添いたいと思います。

子どもが中心

私たちは子どものための園を運営します。子どもを中心に育てること、育つことに価値を置きます。自分でできるようになったことに手を貸したり、早手回しに指示を与えすぎることは、子どもの育ちを阻害します。
反対に子どもの失敗をなじるのでなく、自分でやろうとする意欲や、できたことを認める姿勢を大切にする大人でありたいと思います。

遊びや生活で「頭と身体を鍛える」

子ども達にとって、身体を使って能動的に遊びこむことは何より大切です。中央幼稚園は遊ぶ道具や空間と仲間、そして時間を十分に保障することを大切にしています。
目に見える何かができることを目指すのではなく、仲間との生活や遊びの中で様々な発見や不思議さを経験し内面の育ちに価値を置きます。

「ケガをする権利」

ドイツ、バイエルン州の幼児教育カリキュラムには「子どもはケガをする権利がある」と書かれています。
いかにも西洋風な物言いですが、子ども達は能動的な遊びのなかで、さまざまなケガに遭遇し、その経験から慎重さを身に着けます。
そのような意味から、「小さなケガは、大きなケガの最大の予防」といわれるのです。
幼少期から小学校低学年までは、体力を高めることよりも、神経系の発達を基礎とした運動機能の発達を促す能動的な遊びが非常に大切と言われます。
鬼ごっこ、かくれんぼなど、友達との心から嬉しい遊びの場所で、視覚や触覚などのさまざまな感覚を働かせる体験で、バランスをとりながら腕や足などの多くの身体の育ちを促すことになります。
ケガを恐れるあまり「危ない!危ない!」という制止の言葉を多用しては冒険心や敏 性、しなやかな身のこなしを身に着けることは難しいと思われます。
大人のおおらかな見守りのなかで、心ゆくまで遊び、さまざまなケガの経験が重要だと思います。